注文住宅を作るなら知っておきたい「家づくりの心構え」
『いい家ラボ』の野上です。一生に1度の買い物。今もそのフレーズは健在の「マイホーム」。だからこそ、建てる前に知っておきたいことたくさんありますよね。
インターネットが普及した今、家づくりの基本的なこと、設計、建築、設備などさまざまな情報がたくさん提供されていますが、家づくりをする時の心構え、精神的な部分についてはあまり語られていないように思います。
今回は、これまで私たちと注文住宅を建てたお客様、また私自身が家を建てた経験で得た気づきから、知っていると知らないでは大違い!と感じた、実際に家を建てた人なら思わず「そう、そう!そうなんだよ!」と納得してしまう、家づくりを始める前に知っておくと良い「家づくりの心構え」を6つご紹介いたします。
心構え1.初めてだらけで、ついていくのが精一杯
道を歩けばあちこちで工事をやっているのに、いざ自分となると、建築はなかなか非日常の世界。数多い決定権と、慣れない工程、建材、初めてだらけについていくのが精一杯、というのが現実です。
心構え2.工事はあっという間
各駅停車のつもりでいたら快速電車だった感覚
あまり知られていないことですが一般的には始まってからの工事の過程、時間など、ロスを少しでも少くするために、工事前に各業者で段取りをがっちり組んで、工事開始と同時にドンドン進んでいきます。
(注)「ドンドン進む」とは、あくまでもお客様の建築費ロス軽減のためであり勝手に進めるという意味ではありません。
感覚的には、各駅停車のつもりでいたら快速電車で、どんどん駅を通過していった…みたいな感じです。
『段取り8割、仕上げ(工事)2割』ロスを少なく進めるのが腕のいい職人
建築業界では、『段取り8割、仕上げ2割』という言葉があり、職人達の中では、段取りのうまさは腕の良さ。「段取りのうまい奴は仕事ができる。」と言われるほどです。
もちろん、工事の進行をスローペースで進めてください。と、リクエストするとちゃんと希望通りやってくれますが、人件費や駐車場代などかかった日数分、予算も比例します。
心構え3.建てることに囚われない。新しい家での生活から建てる家を考える。
『家づくり』というと具体的に何を思い浮かべますか?
設計、土の中の基礎のこと、間取り、窓の位置、外観、キッチンやお風呂、洗面所の設備機器、壁、ドア、照明、空調…あくまでも、設計から始まる工事は、そこで生活するための空間を用意している段階です。
建てることに囚われると『理想と現実』に少しずつ誤差が生じる
家に住み始めてからの生活を中心とし家づくりを進めている人と、家の建築自体を中心に家づくりを進めている人では明らかにゴールがちがうため、設計の段階から、すこしづつ誤差が生じています。
ああしたいこうしたい!と思ったら、まずは『理想と現実』の誤差を確認する、があなたにとっていい家をつくるポイント
「新しいお家になったら、こうしたい!ああしたい!」たくさんやりたいこと、住みたいお家の理想が出てきます。その場合、理想と現実の誤差が生じないよう、住んでからの生活から、やりたいことについて考えると、理想と現実の誤差に気付くことができます。
- 〇〇したい!→だけど、その空間でどのように生活をしているかな。
- 〇〇したい!→果たして自分の性格、ライフスタイルに本当に合っているかな。
- 〇〇したい!→これから変化していく家族構成にもちゃんと対応できるかな。
- 〇〇したい!→自分の好み、趣味を一緒に暮らす家族に押しつけていないかな。
- 〇〇したい!→もしもの時、安全は確保できているかな。
- 〇〇したい!→加齢した自分も安心して住めるかな。
などを、いろいろ考え、整理しましょう。
心構え4.工事前にこの3つはやっておく
「心構え1,2」でもお話した通り、工事は始まると、慣れない言葉や未知の工程の中、多くの決定をしなければならない、あっという間の出来事です。
『家は三回建てないと満足しない』といったことわざもあるほど、一生に一度の大きな買い物は、一生に3度経験しないと満足できないほど難しいようです。
できる限り、1回で理想の家を建てられるように、普段からやっておいたほうがよいことは3つ
- 建築雑誌をたくさん読む。
- 体力があるときにショールームをまわる。
- 自分の周りの新築、改築、リフォーム経験者に家の話を聞く。
次に、それぞれ詳しく解説します。
1.建築雑誌をたくさん読む。
自分の理想を把握するのに、多種多様なスタイルの最新の空間や家が綺麗な写真とともに掲載されている雑誌はとても有効です。代表的な建築雑誌といえば、住まいの設計(扶桑社)、suumo注文住宅。ナチュラル系の建築雑誌といえば、住む。時間が許す限り沢山の雑誌に目を通し、目を肥やしておくことをおススメします。
2.体力があるときにショールームをまわる。
先入観なく、清々しい気持ちで、時間を気にせずに見て回れるような、まだ決定期日もなく余裕も体力もある家に、できれば一緒に住む家族とウィンドーショッピング感覚で足を運んでおくことをおススメします。
決めなければならない期日が決まっていると、人は心のどこかで焦っているもの。一般家庭ではあり得ないキッチン、浴室、トイレ・・・多くの設備機器が総集しているため、ショールームはとにかく歩くため、見終わると、なんともいえない疲労感です。これを、工事が決まって『〇日までに決めなきゃいけないから!』と毎週通っていたら、心身共に相当疲れてしまうからです。
3.自分の周りの新築、改築、リフォーム経験者に家の話を聞く。
22年前、私は家を建てる前に、新築住宅を建てた娘の同級生のお母さんに「実際に家を建てて、こうしたら良かったことってありますか?」と聞く機会がありました。すると、開口一番「ベランダ!」「限られた土地の中、設計の段階でどうしても目一杯、部屋にしたくなるの。だけど一軒家の場合、マンションのように溜まったらいつでも出せる「ごみ置き場」があるわけではないのでゴミ収集日までゴミを置いておけるベランダ。リビングから丸見えの植物など、鑑賞用の見せるベランダではなく、実生活に便利なベランダが必要!」と言われ、経験者ならでは、なんて実体験に基づく感想なんだろう・・・と今でも感動したことを覚えています。それ以来、家づくりについて暮らして初めて気づいたことをお客様に聞くようにしています。
工事が始まるとあっという間ですよ〰️
心構え5.どの会社に家を建ててもらうかの判断基準を持っておく
おすすめは完成後のメンテナンスも同じ会社、理想は同じ職人さんが来てくれる会社
残念ながら、『完成がゴール』、『仕事の内容より時間』。スピーディに進める工事が優先の建築業界では、利益追求型、建てたら終わりの会社が多く存在します。利益追求型の会社を選んで後悔しないために、安心できる会社か見極める簡単な判断基準が1つあります。
それは、
「メンテナンスも同じ会社、できれば建てた時と同じ職人さんがきてくれる会社かどうか」
このような会社は、住む人のことを考えて仕事をしている会社、住む人の気持ちをきちんと理解したうえで工事(作業)を行っているので建てる人と一緒の気持ちで家づくりをしていると言えます。また、実際に工事前の土地を掘り起こす段階から、家が出来上がるまでの過程、目に見える部分はもちろん、目に見えない基礎の様子、土の強度など、その家のすべてのことを把握していますので、相談しやすいですし、建ててからのこともしっかりサポートしてくれるので安心できると思います。
同じ職人さんが来てくれる会社を選ぶことは、精神面でもメリットが
空の巣症候群という言葉は、皆さんよくご存じかと思います。
子どもが家を出たり結婚したりしたときに、多くの女性が感じる憂うつで不安になる苦しみの一般的な信念を表す言葉である。子育てが終わり、子供が家を巣立っていったあたりからこの症状が出てくることが多いためこのように呼ばれる。
工事後症候群?とでも申しましょうか・・・工事期間中は工事関係者、職人など、連日朝早くから夕方ギリギリまで次々出入りします。
これまで多くの人で賑わう商店街のようだった工事現場から一変、工事完了とともに、家族だけの静かな空間が広がります。空の巣症候群のように、一人前に成長することを願って子育てをしていたのにいざ巣立つとなると悲しい・・・家の建築も、完成後を夢見て待ちわびていたのに、いざ完成し、誰もいなくなった家を見渡すと、毎日張っていた気が解け、何となくぽかんと穴が開いたような淋しさに駆られます。
これは、工事をしたお客様から「工事が終わって寂しいわ」といったお声を数多くいただき実は工務店の嫁でさえ、自分の家が完成した際に味わった貴重な体験でした。
子育てとは異なり、家の場合はその後も点検やメンテナンスなど細く長くおつきあいしていける、工事後「連絡先(窓口)は工事を依頼した会社だけど、実際来た人は初めて…」ではなく、完成後も同じ会社の、実際に工事を行った職人が来てくれる。当たり前のようで、建築業界では当たり前ではないのが現状です。
病院で例えると、生まれた時から診てもらっている主治医のような存在。家にとって、異変に気がついたり、調整が必要だと感じることができるのは賢明な会社選びの賜物だと確信しています。
心構え6.完成してからが『家づくりの本番』ということを忘れない
数年先の生活だけでなく、生涯スパンでこれから建てる家について考えることが大切。
家づくりは、「土地選び、設計、工事」がメインではなく、「建物が完成」してからが『家づくりの本番』です。
あなたの住みたい家は、あなたが何歳まで住めますか?
お子さんがいるご家族の「家」を考える時期、大きなきっかけは、小学校の就学前がダントツです。理由はもちろん、小学校に入ってから引っ越すとなると、学校を転校しなければならないから。就学を機に「そろそろ子供部屋を作ってあげたい!」と、家の引っ越し検討する人も多く見られます。
お子さんが小学校にあがる7歳から、仮に大学を卒業する22歳まで、15年間。長いようで過ぎてみれば短い15年。しかしここでよく考えてみましょう。お子さんが学校を卒業後、いつまでそのお部屋を使われるでしょうか?子供部屋だけは!とこだわった方の多くは、お子様が独立されたその後、残念ながらダントツ使われていない、正確に申し上げると、使いようのない空間となってしまっています。
人生80年。残りの65年間はだれも使っていない物置と化す個室に建築費用を使うのはいかがなものでしょう。
お子さんが幼い時には遊ぶ様子を見ながら炊事ができるリビングダイニングキッチンは、転落防止のために極力高さのない生活環境から、子供の成長とともに、床に座っていた座卓生活は椅子生活に。そして、月日が流れ、団らんだった空間は、これからの、老後、在宅介護の時代は生活の中心空間になるでしょう。家の中で暮らす人は、日々変化していきます。変化に対応できる間取りは、住む人の快適な暮らしの大きな味方です。
家づくりの心構えを知って、10年、20年、30年後もいい家だな、と思える注文住宅を
工事が始まってから完成まではあっという間ですが、これまでに上げた1~6までの心構えを知っておくと、土地選びから変わってきます。また設計が始まったとき、住んでからの生活から間取り、キッチンお風呂をどうするかなど、生活スタイルに合わせた家づくりがスムーズに考えられるようになり、住んでからの誤差が少ない家を作ることができるでしょう。/p>
住み始めてからああすればよかった、とならないために。家はできたばかりが素敵なのは当たり前。10年、20年、30年経っても、いい家だな~といつも思える家はあなたにとってどんな家ですか?それが本物の家づくりだと想います。建てる前に建築から竣工までの流れを心得、しっかり分析し、家づくりに活かしてくださいね。
おまけ
注文住宅を建てる!と決めたら最初にやることが資金計画だと知っていますか?知らない方はもちろん、知っているけどどのように進めればいいかわからないとお困りの方は、こちらの記事がおすすめです。
いい家ラボの野上です。普段は、東京台東区で自然素材の素足の気持ちい注文住宅を提供する野上工務店の、4代目大工の妻として皆様の理想の家づくりのサポートをしております。今回は、理想の注文住宅を建てようと思った方が、最初にすべき「資金計画」につい[…]
東京の気候に合った家ってどんな家でしょう。どんな家を建てるかお考え中の方はこちらの記事も是非参考にしてくださいね。
こんにちは、『いい家ラボ』の野上です。普段は、東京台東区で自然素材の素足の気持ちい注文住宅を提供する野上工務店の、4代目大工の妻として皆様の理想の家づくりのサポートをしております。 いい家の条件の一つは、その国や土地の気候に合っていること[…]

