こんにちは、『いい家ラボ』の野上です。普段は、東京台東区で自然素材の素足の気持ちい注文住宅を提供する野上工務店の、4代目大工の妻として皆様の理想の家づくりのサポートをしております。
いい家の条件の一つは、その国や土地の気候に合っていること
いい家の条件の一つに、「その国や土地の気候に合った家」ということが挙げられます。ですので、日本では日本の気候に合わせた家づくりが必要になります。
日本の気候の特徴で代表的なのは、四季があること、次に高温多湿であること、更に、東西南北で気候が違うのが特徴です。ですので、気候に合わせた家をつくる場合、日本の家は全てこう!と一律ではなく、その地域、土地の気候に合わせて家づくりをするのがポイントです。
では、東京の気候の特徴に合わせた家とは、どんな家のことでしょう。
東京の家は、暑さと寒さどちらに合わせてつくる?
東京の気候で特徴的なのは、夏と冬の寒暖差です。現在の東京の冬の最低気温は1度、夏の最高気温が35度を越える猛暑日もめずらしくなくなりました。
東京の気候に合わせた家づくりとは何でしょう。先にヒントを申し上げますと、東京では暑さと寒さ、そのどちらかに合わせて家づくりをするのが良いのですが、寒さ、暑さ、どちらに合わせた家づくりがベストだと思いますか?
正解からお伝えすると「暑さに合わせた家づくり」です。
理由は、自分の体に問いかければわかる単純なお話です。北海道やマイナス10度以下になる極寒地域などと異なり、東京の最低気温は1度。この程度(といっても寒いですが)の寒さなら暖房器具を使わなくても洋服をたくさん着こんだり、布団に包まって寝ると暖かくなることで、何とかしのげます。一方35度を超える猛暑は、クーラーを使わない限りうちわをあおいでも我慢に限界があり、場合によっては熱中症など死の危険さえ伴います。この為、東京の気候は、寒さより暑さ対策の方が重要と言え、東京の気候に合わせて家をつくる場合は暑さに合わせた家づくりが正解、となります。
東京では、暑さに合わせて家をつくった方が良いことが分かりました。では、暑さに合わせた家とはどんな家なのでしょうか。
暑さに合わせた家とは?
暑さに合わせた家とは、クーラーを使わずとも、涼しく、風通しのいい家です。外側と内側に使う建材、建物の設計、この2つで、暑さに合わせた涼しく風通しの良い、具体的には灼熱の東京で、クーラーの設定温度が28度~30度でも不快なく過ごせる家をつくることができます。
1.外側は「遮熱」内側は、「熱がこもりにくい建材」と「熱を放出しやすい素材」で、外より涼しい家
まず、建物の外側は断熱というより、遮熱を最も重視します。室内においては熱がこもりにくい建材、また熱を放出しやすい素材が好ましくそれは、無垢の木、自然素材によって体感することができます。
2.「換気」ではなく「吸気」をしっかりとった設計で、空気が循環する風通しのいい家
さらに風の通り道を意識した設計です。風通しの悪い熱がこもった空気が循環しない部屋と、風通しがよく空気が循環し常に新鮮な空気が流れる部屋、想像しただけでも後者の方が過ごしやすいと分かると思います。風通しのいい家は、実際に風が通り涼しいだけでなく、体感温度も違います。風があるかないか、空気が循環しているかで、同じ気温でも暑さの感じ方が違いますよね。
さて、ここで注意したいのが、どのように風通しを良くするかです。風の通りのいい家には、排気と吸気が必要で、風の通りを意識する場合は、吸気のことを考えた設計が必要になります。
風通し、というと、一般的に「換気」をイメージされるかもしれまんが、換気は排気のことなので、換気だけでは不十分。更に排気にも吸気の設計が必要です。実は、吸気がしっかり取れていないと十分な排気ができないのです。この為、風通しの良い設計では、吸気に配慮した設計が重要になります。
換気は認知度が高く、どなたでも考えると思いますが、吸気は、あまり注目されていないような気がします。

暑さに合わせた家のメリット
もちろん、涼しく風通しのいい家にしても、冷暖房に頼らない生活ができると言ったら嘘になり、それらに完全に頼らない生活はできません。ですが、東京で家を建てる場合は、暑さに合わせる事で、クーラーの設定温度が28度~30度でも不快なく過ごせるようになる為、以下2つのメリットがあります。
- 節電・電気代の節約ー設定温度が1度上がると電気代を10%節電できる
- 人にも建物にも優しい環境の構築
1.節電・電気代の節約ー設定温度が1度上がると電気代を10%節電できる
先ほどからもご案内しているように、涼しく風通しのいい家をつくることで、クーラーの設定温度は28度~30度でも不快なく過ごせる家になります。
公益社団法人東京電気管理技術者協会では
温度を1℃上げるだけで、約10%の節電になる
と言っています。
1日の中でも最も使用電力量が多くなるピークは、夏の場合、昼12
時から15時といわれます。この時間帯の電力使用量を減らすのが
ピークカット。その鍵を握るのが冷房です。暑さもピークの時間帯、
いかに効率よく、少ない電力でエアコンを動かすか。消費電力を抑え
るには、まず設定温度を高くすること。温度を1℃上げるだけで、
約10%の節電になります。・・・
物理的に気温が低い涼しく、空気の循環する家では、クーラーの設定温度を上げることができ、その分節電、節約になる、という事です。
2.人にも建物にも優しい環境の構築
クーラーをガンガンに効かせなくても過ごせるから、体にも建物にも環境にも優しい
クーラーをガンガンに利かせないと過ごせないお家に住んでいると起こるのが、日中、外に出た時と建物内の温度差による体調不良です。また、東京は家同士が近かったり、窓を開けると騒音が気になるなどで、窓を開ければ過ごせる気温でも、窓を開放して過ごすのが難しい立地が多く、基本的に窓を閉めて過ごすことになります。
窓を開けてはいられない環境で、真夏の猛暑でも、窓を閉め切った状態で冷房の設定温度が28度~30度でも不快なく過ごせる家は、体への負担を抑えるだけでなく、建物への負担も抑えることができ、人にも建物にも優しい環境が構築できます。冷房の設定温度は、CO2の排出量にも関係しており、環境にも優しい家づくりに繋がります。
災害大国「日本の現実」
近年、世の中は、AIブーム、民間で宇宙旅行に行ける時代にあまりに原始的と思われた方も多いかと思います。
しかし、2019年9月9日に関東を直撃した台風15号、こんなにデジタル化した、しかも東京のすぐ隣の県、千葉県では10日以上経っても電気が通らず、断水状態が続きました。そんな状況の中、テレビのニュースでは、暗くなるとろうそくを立て冷蔵庫の代わりにアイスボックスを使用している・・・信じられない様子が映し出されました。
時代によって変わる日本家屋のトレンド変化
高度成長期以降盛んに取り上げられた『高気密・高断熱の家』
昔の日本家屋は冬になるとすきま風が入って寒いため、高度成長期以降『高気密 高断熱の家』が盛んに取りあげられました。
「高気密な家」とは、工場生産の建築部材、防湿シート、断熱材、気密テープなどを使ってできるだけ隙間をつくらないようにして建てられた住宅。そして、「高断熱の家」は、外壁と内壁の間に断熱材を入れたり、断熱性の高い窓を採用して断熱性能を高めている家のことをいいます。
高気密・高断熱の家は、寒い地域に向いているが東京には向いていない様式
寒い地域では向いている様式ですが、高温多湿の東京では、熱を逃がさない構造は向いていないことがわかり徐々に廃れていきました。
テクノロジーの発達により出てきた『オール電化住宅』
平成になってからは、各大手住宅のメーカーでも『オール電化住宅』のCMが連日流れていました。オール電化住宅とは、調理・給湯・冷暖房などに用いるエネルギーの全てを電気によってまかなうシステムを備えた住宅。テクノロジーの発達により出てきた家の様式です。
何かに頼る家は、頼れなくなったときに家の機能を失う。電気に依存した生活の限界
しかし、3月11日、東日本大震災を境に、電気に頼ることはどういうことなのか・・・。毎年各地で起こっている自然災害。何かに頼っている家は、その何かがなくなったとき、頼れなくなったとき、家としての機能を失う…ということが、関東地方でも立証されることになりました。
気候と災害の未来予測
2019年9月掲載の朝日新聞の記事によると、2019年、国際連合気候変動に関する政府間パネル(IPCC)は二酸化炭素を出す量を減らすなどの対策がとられなかった場合、今世紀末の平均気温が最大4,8度あがると予測。豪雨などの気象災害が増えたり、食料をつくりにくくなったりと、幅広く影響が出ると考えられている、といっています。
暑さに合わせた家は、東京の気候に合っているだけでなく、時代の変化に左右されない家
健康な身体であればあるほど、冷暖房に頼らず元気でいられるように、冷房や暖房に頼らない家、エネルギーに極力頼らない家は環境に良いことはもちろん、風通しのよい家は、
湿度の高い東京において、建物にとっても快適でそこに住む人にも健康的な家そして、災害時に強い家にもつながっていきます。
「東京の気候に合った家」まとめ
- 東京の気候に合った家とは「暑さに合わせた家」のこと
- 外側は「断熱」より「遮熱」を、内側は「建材(無垢の木、自然素材)」で「熱を放出」する。
- 「排気」だけではなく「吸気」を取って、風の通り道を確保する「設計」を
- 暑さに合わせた家は涼しく、「節電=電気代の節約」になる
- 暑さに合わせた家は、冷房設定が28度~30度で快適に過ごせる人にも建物にも、環境にも優しい家
- 暑さに合わせた家は、災害時に強く、時代に左右されない家
以上のことから、野上工務店では、自然素材をふんだんに使用し、遮熱と風邪通りを意識した、東京でも極力エネルギーに頼らない人と建物、環境にもやさしい家づくりをしております。
東京で分譲住宅や注文住宅のご購入を検討されている方は、是非、今回ご紹介した「暑さにあった家」の条件はどうか確認してみてください。今回ご紹介した家づくりに共感いただき、私たちの家づくりに興味がある方は、お気軽にご相談ください。
『いい家ラボ』では今後もわたしたちが思う東京で「いい家」を建てるための様々なお役立ち情報を発信してまいります。
次回もお楽しみに。