いい家ラボの野上です。普段は、東京台東区で自然素材の素足の気持ちい注文住宅を提供する野上工務店の、4代目大工の妻として皆様の理想の家づくりのサポートをしております。
今回はお金の話、住宅ローンについてです。建てた後も続く住宅ローンは、自分に合ったものを選ぶことが重要です。ではどのように進めていけば、自分に合った住宅ローンを選ぶことができるのでしょうか。
工務店としてお客様と注文住宅を作る中で得た知識やノウハウから、私たちがおススメする住宅ローンの見つけ方をご案内します。
住宅ローンの借入れ先と特徴を知る
住宅ローンには大きく分けて3つの借入先があります。
- 銀行、信用金庫
- ネット銀行
- 住宅金融支援機構(フラット35)
1.銀行、信用金庫の特徴
- 身近
- 消費者のニーズに合わせた住宅ローンがある
- 金利もローンにより様々
- 団体信用生命保険への加入とその事務手数料・保険料がかかる
銀行、信用金庫のローンの特徴は、一番身近、金利はローンによっていろいろ、消費者のニーズに対応した住宅ローンがあることです。また、金利以外に団体信用生命保険への加入による事務手数料と保険料がかかります。
※団体生命保険とは
団体生命保険とは、住宅ローンの契約者が返済中に死亡、高度障害になったときローンの残額を肩代わりしてもらえる住宅ローン専用の保険のことです。
2.ネット銀行の特徴
- 変動金利が安い
- 保証料がいらない
- 事務手数料が高い為、トータルの諸費用額は他銀行とほぼ変わらない
- 書類審査のみで審査が厳しく、非対面の為審査に時間がかかる
- 店舗に行く時間の無い人向き
ネット銀行のローンの特徴は変動金利が安いこと。そして保証料がいらないことも特徴ですが、事務手数料が高いため、トータルの諸費用額はほとんど変わりません。また、書類のみで選考を行う銀行が多いため審査が厳しく、対面ではないため書類の不備があるとやり直しなど時間がかかるとも言われています。
手続きをネット上や郵送で行うので店舗に行く時間が取れない人向きです。
3.住宅金融支援機構(フラット35)の特徴
- 省エネ・良質住宅の普及を推進する独立行政法人住宅金融支援機構が提供する住宅ローン
- 最長35年で全期間固定金利でローンが組める
- 世の中の金利が高くなればなるほどお得で、世の中の金利が下がれば下がるほど損になる
- 繰り上げ手数料不要、繰り上げ返済で、返済期間を短くすることができる
住宅金融支援機構とは
住宅金融支援機構は独立行政法人機関です。旧住宅金融公庫(国金:こっきんと呼ばれていました)の業務を継承しています。
民間金融機関と提携して、全期間固定金利の住宅ローン「フラット35」を提供し、省エネ住宅などの良質住宅の普及を推進しています。
フラット35とは
フラット35とは、最長35年の全期間固定金利の住宅ローンのこと。
借り入れした時点での金利で固定されるため、世の中の金利が高くなれば高くなるほど、ラッキー!ということになり、逆に金利が下がれば下がるほど、その恩恵は受けられません。
もう一つの特徴として、繰上げ返済手数料が不要というメリットがあります。収入が上がったり、まとまった資金ができたりした時などには返済期間を短くすることもできます。
住宅ローンの審査基準について知る
住宅ローンの審査の厳しい→通りやすい順は以下
- ネット銀行
- 大手銀行
- 地方銀行
- 信用金庫
- フラット35
一般的に審査が一番厳しいのはネット銀行。理由は書類のみで選考を行い融通が効かないから。その次には大手銀行→地方銀行→信用金庫→フラット35といった順で審査が通りやすくなっていきます。
地域密着型の銀行や信用金庫は、それぞれの事情をヒヤリングしながら借入金額の相談にのってくれますが、融通が効く部分はしっかり金利に反映されることも自覚しておきましょう。
住宅ローン審査の評価項目
住宅ローンの審査では、その金融機関をメインバンクにしているか、その金融機関と何年取引があるか、預貯金残高はいくらあるのか、などが評価項目になります。預貯金額が多い人は返済できる能力があると評価が上がります。
住宅ローンを機に、それまで違う金融機関がメインバンクだった人が少しでも金利を優遇してもらうためメインバンクを変更するというケースもあります。
※メインバンクとは
メインバンクとは普段の生活の中で利用している銀行のこと。給与振込、公共料金等の各種引き落とし、定期などの預貯金取引を行っている銀行のことをいいます。
住宅ローンの金利の種類
住宅ローンの金利は3タイプ。
- 固定金利
- 変動金利
- 固定金利期間選択型
①固定金利
固定金利とは、ローン開始に定めた金利が完済まで一定の金利の事です。
メリット
- 変動金利より比較的金利は高めだが最後まで返済額が同じなので家計の管理がしやすい。
- 金利が低い時に借入しておくと、将来金利が上昇してもずっと低金利で利用できる。
デメリット
- 3つの金利の中で一番高い金利
3つの金利タイプの中で一番高い金利ですが、金利が変わることが無いので将来の情勢が読めない時には最適な金利タイプです。
②変動金利
変動金利とは、経済状況、社会情勢によって金利が変動する金利の事です。年2回金利は変更されますが、一般的に実質的な見直しは5年ごとに行われます。
メリット
- 固定金利に比べると金利は低め
デメリット
- 金利の上昇により返済額が上がるリスクがある。
変動金利がおすすめな人
- 途中見直しできる人
- 金融が得意な人
- マメな人
金利上昇による返済額が上がるリスクはあるものの、固定金利に比べて金利が低めなので、途中の見直しができる方、金融が得意な方、マメな方には変動金利はオススメです。
③固定金利期間選択型
固定金利期間選択型とは、3年、5年、10年など契約時に期間を選択し固定金利にできる金利の事です。期間が終わると再度金利を選べます。
メリット
- 期間内は固定金利で返済できる
- 期間ごとに自分に合った金利で返済していける
デメリット
- 固定期間終了後に金利が上昇してしまうリスクがある。
自分に合った住宅ローンを見つける手順
住宅ローンの種類や特徴を把握した上で、どの住宅ローンにするか決めます。決める際も、直感やなんとなくではなく、手順に沿って進めます。
自分に合った住宅ローンを見つける手順
- 毎月返済する金額を決める
↓ - 返済期間を決める
↓ - 金利タイプを選ぶ
↓ - 住宅ローンを選ぶ
ポイントは、金融機関選びからはじめないこと
住宅ローンを選ぶうえで、「どこの銀行にする?」と、銀行や金融機関から始めるのは要注意。後々損をしてしまう可能性があります。
住宅ローンは、①毎月返済する金額、②返済期間、③金利タイプ、④住宅ローンの順で決めていくと自分に合った住宅ローンを選ぶことができます。
各手順のポイントはこちら。
①毎月の返済額を決める際のポイント
毎月の返済額の設定は、一般的に年収の20%~25%が無理のない年間返済額と言われています。但し、この返済額の中には住宅ローンだけでなく、その他のローン(例えば車など)も含まれる総返済額となりますのでご注意ください。
②返済期間を決める際のポイント
返済期間は、『80歳未満で完済』が住宅ローン審査基準になっており、どの金融機関でも借入の時の年齢ではなく、完済するときの年齢が重要とのことです。
③金利タイプと④住宅ローン選択する際のポイント
上記の①毎月の返済額と②返済期間を算出したうえで③各銀行の固定金利、変動金利、それぞれの情報を表にして、④どの金融機関の住宅ローンが一番自分の返済プランにオススメなのかを検討しましょう。
自分に合った住宅ローンを選んで、建てた後の暮らしを健やかに
数多ある住宅ローンから自分に合った住宅ローンを選ぶのはなかなか骨が折れますが、正しい順序で進めることで、自分に合った住宅ローンを見つけることができます。
『家づくりは建ててからが本番。』と常々申しておりますが、注文住宅完成後長く返済が続く住宅ローン選びは建ててからの暮らしに影響します。
返済に悩まされたりせず、建てた家の良さを感じながら、健やかに暮らしていきたいものです。じっくり取り組んで、自分に合った住宅ローンを選んでくださいね。