注文住宅の土地選び3.物件情報の見方とポイント全11項目|注文住宅の流れ④土地選び

いい家ラボの野上です。普段は、東京台東区で自然素材の素足の気持ちい注文住宅を提供する野上工務店の、4代目大工の妻として皆様の理想の家づくりのサポートをしております。

今回は、土地の物件広告(物件情報)の見方についてのお話です。

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はじめに

土地探しでは、不動産会社任せにせず自分でも探すのがいい土地に出会うポイントとお話しました。

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自分で土地探しをする時必ず目を通すのが物件広告です。あなたが不動産会社やインターネットの土地の物件広告で、気になる土地を見つけてまず目に入るのは価格、場所、広さでしょう。ですが、物件広告には、その他にも見るべき項目があります。

物件広告に掲載されている項目や専門用語を把握していると、物件広告には何が書いてあり、その土地がどんな物件か広告を見てある程度理解できるようになります。今回は、「こんなはずじゃなかった」と後悔しない為に、あなたが土地の物件広告を見る際に注意すべき11項目についてお話します。

物件広告で必ずチェックすべき11項目

以下が、価格・場所・広さ以外で注意すべき重要な11項目です。概要とポイントをまとめました。

  1. 土地の権利/土地権利(土地の所有形態)
    購入後に土地が自分のものになるのか(所有権)、賃貸のように借りて利用できるだけか(借地権)を示す項目。まず最初にチェックします。どちらがいいかは人生設計により異なります。
  2. 地目(ちもく)
    住宅が建てられる土地か、そうでない土地かを示す項目。「宅地」であれば家を建てられる土地、それ以外の場合は宅地への転用が可能か確認が必要です。
  3. 道路/接道状況(道路の幅員)
    土地の前面道路の道幅(道路の幅員)を示す項目。幅員が4m以上の場合は「接道義務」として建物を建ててはいけない。これに対応する為ギリギリ2m道路に接するように分割している土地が多くある。4m未満の場合はセットバックが発生します。
  4. セットバックと私道負担
    セットバックとある場合、敷地の前面道路の幅員が4m未満の為、道路の中心線から水平距離で2mの位置まで下げて建物を建てなければならず、セットバックした土地には何も建ててはいけない。私道負担とある場合は、私道負担金等が発生することがあり、セットバックと私道負担は要確認項目です。
  5. 用途地域
    土地の周辺にどんな建物があるか、将来どんな建物が建つかを示す項目です。市区町村の窓口やHPで調べることができ、東京都の場合「都市計画情報」というサイトで調べることができます。用途地域は全13地域、家を建てられる土地は「住居系」と呼ばれる全8地域。用途地域を把握することで、隣で高層マンションの建設が始まる、といった事態等を未然に防ぐことができます。
  6. 建ぺい率・容積率
    購入した土地に建てられる建物の大きさと高さを示す項目。街の景観が乱れたり、建物が密集しすぎない様、各地域で建物の大きさや高さを定めており建ぺい率と容積率でコントロールしています。購入後思ったより小さな家しか建てられなかった、といったことの無い様必ず確認します。
  7. 現況
    更地(土地のみの状態)か、建物が建っているかを示す項目。通常は、更地を意味する「土地」か「中古住宅」の2つ。注意すべきは「土地※現況古家あり」の表記。「古家あり」は経済的価値がほぼない住宅が建つ土地を指し、新築を建てる場合購入後に建物の解体等が必要になる。但し古家ありも必ずしもデメリットばかりではない為、メリット・デメリットを把握しておくことが大切です。
  8. 地盤(土地の中、見えない地中のこと)
    物件情報を元に別途調べる項目。市区役所で、建築確認申請で出された地盤データをもとに、その土地の地盤について教えてくれる。「〇〇区〇〇町〇丁目〇番地付近」まで調べることが可能。簡易的にはウェブサイト(地盤サポートマップ)とアプリ(じぶんのじばん)でも確認可能。これから土地探しをされるならブックマークやダウンロードしておくと便利です。重要な項目ですので必ず確認しましょう。
  9. 上下水道・ガス・電気の設備状況
    同じ宅地でも、上下水道・ガス・電気の設備状況が異なり、設備がない場合は買主負担で整備する必要がある為要チェック項目。生活する上で必ず必要な設備で、設備状況で土地代にプラスでかかる費用が変わってくる為どの設備がどの程度整備されているか確認が必要です。
  10. 交通の利便
    所要スポットからの距離を示す項目。「徒歩〇分」「車で〇分」は、徒歩1分=80m、車の場合1分=400mで計算しています。スーパーや最寄駅からの利便性は生活する上で重要なポイントですので、大切な項目です。
  11. 土地の売買の取引態様
    その土地がどのような売買取引がされているかを示す項目で宅建業法の規定で明示が義務付けられています。取引態様は「売主」「代理」「媒介(仲介)」の3種類。仲介の場合は、仲介手数料がかかり、更に売り手と不動産業者との契約の違いで更に3種類の契約に分かれそれによっても手数料が異なります。基本的にほとんどの物件が「媒介(仲介)」の為、土地代の他に仲介手数料がかかり、契約により手数料が異なることを考慮し土地探しを進める必要があります。

次は、1~11の項目を、それぞれ詳しくお話していきます。

項目1.「土地の権利」または「土地権利」

最初に確認していただきたいのが、広告で「土地の権利」「土地権利」と記載されている土地の所有状態です。購入したつもりが借りているだけだった(その逆もしかり)、なんてことの無い様きちんと確認してくださいね。

土地の権利は「所有権」と「借地権」の2種類

「土地の権利」には、「所有権」と「借地権」の2種類があります。その土地を自分のものにできるのが「所有権」、その土地を借りて利用することができるのが「借地権」です。

「所有権」と記載されている場合、購入後自分がその土地の所有者となります。「借地権」と記載されている場合は、土地の利用権利はあっても所有権自体はその土地を貸している地主にあります。借地権には更に、更新できる「普通借地権」と更新できない「定期借地権」がありますので、借地を検討する場合はこの2つの記載にも注意しましょう。

  • 所有権・・・その土地を所有でき、購入者であるあなたが土地の所有者となる
  • 借地権・・・その土地を借りて利用できる。土地の所有者は土地を貸している地主。借地権には更新できる「普通借地権」と更新できない「定期借地権」がある

所有権と借地権の管理・費用面の違い

所有権は、土地が自分のものになる代わりに固定資産税や都市計画税などの税金がかかる

所有権の場合にはこれらの費用は必要なく、土地を購入する費用さえあれば、その後は権利金や地代などを継続的に支払う必要はありません。その代わりに、「土地という不動産」を所有するため、固定資産税や都市計画税の課税対象となり、毎年税金の支払いが必要となります。

借地権は、販売価格が安くお得に見えるが、賃貸物件同様、継続的な支払い、建て替えの度にオーナーの許可が必要。

「借地権」には土地を借りている間、地主に対しての地代、保証金や権利金、更新料など賃貸物件のような継続的な支払いが必要になります。また、借地権の場合は借りている土地であるため、建物を建築または建て替える際には、地主に建て替え承諾料を支払う必要があり、あらかじめ地主の許可が必要となります。

まとめ

いろいろな物件を見ていくと、所有権に比べ借地権は販売価格がとても安いため、一見、借地権の方がお得なような気もします。しかし、毎月借地料などの継続的支払いがあるためどちらを選ぶかは、ご自身の将来的な方向性によって大きく左右します。

一昔前の時代では、家、土地に対して財産、資産としての価値を重んじていましたが、少子高齢化の現代では、ライフスタイルも変化し、住まいに対する価値が多種多様になってきました。例えば、独身の方、お子さんのいらっしゃらない方、将来自分が亡くなった後、財産を残す必要のないとお考えの方等々・・・にとっては、資産価値が所有権に比べて少ない借地権の土地は、土地取得時に費用がかからず安く済むためオススメです。初期費用が安くなる分建築費用にまわす、所有するとなると高額で購入が難しい地域の土地に借地なら家を建てられるという利点があります。所有権は土地の権利を自分のものとしてもつということなので、購入時は大きな支出ですが、完済後は固定資産税以外の支出がないこと。将来、財産として活用できるという安心も得られます。

項目2.地目(ちもく)

一般的に都内ではあまり例がないかと思われますが、不動産登記法に定められた土地の区分では、土地の形質や利用状況が示されています。表記は「宅地」「田」「畑」「山林」「原野」など、不動産登記法に定められた区分のいずれかで、通常の住宅が建てられるのが「宅地」。その他の場合は宅地への転用が必要になる場合があるので、確認しましょう。

項目3.「道路」「接道状況」(道路の幅員)

「道路」「接道状況」とは道路の幅員(ふくいん)、つまり土地の前面道路の道幅のことです。建築基準法で計測方法、「接道義務」などが定められており、道路の側溝の外側を道路境界とみなし幅員を計測し、道路の幅員により、住宅を建てられるかが異なりますので、注意が必要です。

幅員が4m以上の場合は、「接道義務」で住宅を建てることができないが、規定ギリギリの2m接する工夫で売買されることが多い

幅員が4m以上の道路に間口(土地や建物の正面の幅)が2m以上接していない土地には住宅を建てることはできません。これを「接道義務」といいますが、このような場合、1つの土地を分割して販売する場合に土地の一部を規定ギリギリの2mだけ道路に接するようにして宅地として売買されるケースが多く、このような形状の土地を「旗竿状地」といいます。これについては、SUUMO(スーモ)住宅用語大辞典に説明があります。

接道義務とは

接道義務とは都市計画区域内で建物を建てる場合、原則として幅員4m(特定行政庁が幅員6m以上を道路として取り扱う区域は6m以上)の建築基準法上の道路に、2m以上接した敷地(土地)でなければならないと定めている。そのため1つの土地を分割して販売する場合などでは、道路から離れた奥まった土地の一部を敷地延長させ、ギリギリ2mだけ道路に接するようにしているケースが多い。ちなみにこうした形状の土地を「旗竿状地」といい、旗竿の竿の部分が敷地延長した道路に当たる。

参照:接道義務の意味・解説ーSUUMO(スーモ)住宅用語大辞典より

間口とは

間口とは、土地や建物の正面の幅のこと。 土地・建物の長さを表す「奥行き」の対語である。 一般に、土地や一戸建て住宅の場合、道路が面している面を間口という。 … 不動産購入において注意が必要なのは、道路接する間口サイズ(接面間口ともいう)。

参照:間口(マグチ)の意味・解説ーSUUMO(スーモ)住宅用語大辞典より

 

幅員が4m未満の場合は、セットバックが発生し、土地面積より少ない面積で建築計画をしなければならない

これは、次の項目4で説明します。

項目4.セットバックと私道負担

敷地の前面道路の幅員が4m未満の場合、建物を建築する際、道路の中心線から水平距離で2mの位置まで下げて建物を建てなければなりません。これをセットバックといいます。

また、旧市街地内の土地を購入する際に多いのが、敷地に接している道路の幅が4mに満たないケースである。この場合は、道路の中心線から2m敷地の縁を後退させなければならない。これを「セットバック」という。

参照:接道義務の意味・解説ーSUUMO(スーモ)住宅用語大辞典より

このセットバックした土地には建物の建築はもちろん、門や塀なども設置することはできません。つまり、家を建てる際には実際の土地面積より少ない面積で建築計画をすることになります。 セットバック部分は建ぺい率や容積率を算定する際の敷地面積に含まれません。敷地面積の他に、私道の負担がある場合には、私道負担金等が発生することもあるので注意が必要です。必ず確認しましょう。

項目5.用途地域

自分が建てた家の周辺にどんな建物があるか、将来どんな建物が建つかは、家を建てるうえで重要なポイントです。用途地域を確認するこで、景観が良いので購入した筈が数年後目の前に大きなマンションが建設された、といったことを防ぐことができます。

用途地域とは

用途地域とは、建築できる建物の用途などを定めた地域です。用途地域は、住まいを建てられる「住居系」、商業施設を建てられる「商業系」、工場など工業施設を建てられる「工業系」の3つに分類され、その土地にどのような建物が建てられるかを、全13地域で分けています。そのうち、住まいを建てられる住居系は13地域あるうち新たに追加された「田園住居地域」を含む全8地域ですので、住居系全8地域がそれぞれどんな特徴を持つ地域か把握しておくといいでしょう。

R.E.words 不動産用語集には、用途地域について、以下のように詳しく解説されています。

用途地域

建築できる建物の用途等を定めた地域。都市計画法に基づく制度である。

用途地域は、地域における住居の環境の保護または業務の利便の増進を図るために、市街地の類型に応じて建築を規制するべく指定する地域で、次の13の種類があり、種類ごとに建築できる建物の用途、容積率建ぺい率などの建築規制が定められている。

・住居系用途地域:「第一種低層住居専用地域」「第二種低層住居専用地域」「第一種中高層住居専用地域」「第二種中高層住居専用地域」「第一種住居地域」「第二種住居地域」「準住居地域」「田園住居地域

・商業系用途地域:「近隣商業地域」「商業地域

・工業系用途地域:「準工業地域」「工業地域」「工業専用地域

用途地域の指定状況は、市区町村が作成する都市計画図に地域の種類ごとに異なった色を用いて表示され、容易に確認できるようになっている。

なお、用途地域は、局地的・相隣的な土地利用の調整の観点にとどまらず、都市全体にわたる都市機能の配置及び密度構成の観点から検討し、積極的に望ましい市街地の形成を誘導するため、都市計画区域マスタープランまたは市町村マスタープランに示される地域ごとの市街地の将来像にあった内容とすべきであるとされている(都市計画運用指針、国土交通省)。

住居が建てられる住居系全8地域とその特徴

この8地域のどれかに指定された区域には基本的に大きな工場や商業施設は建てられず、住環境が優先されている用途地域です。 

  1. 第一種低層住居専用地域
    都市計画法第9条による、「低層住宅のための良好な住環境を保護する地域」として指定されており、もっとも快適な住環境が確保された地域といわれています。建物の高さや近隣との距離が定められており、一軒一軒の家が低く、敷地が広いことが特徴です。13種類の用途地域の中で最も厳しい規制がかけられています。
  2. 第二種低層住居専用地域
    第一種低層住宅専用地域と同じく、都市計画法で「主に、低層住宅のための良好な住環境を保護する地域」とされています。建築できる建物の種類や高さ制限はほぼ同じですが、建築できるものの規制が緩和されます。具体的には、第一種低層住宅専用地域では、小規模な店舗や事務所住宅兼ね備えていなければならないのに対し、第二種低層住宅地域は、2階以下で延べ床面積が150㎡以内の飲食店や店舗(例えば理髪店、喫茶店、コンビニ、日用品の販売店など)。また、パン屋さんやお豆腐屋さんなど作業場の面積が50㎡以下の工場も建築することができます。その他、第一種低層住居専用地域の住宅街より道路の幅が少し広いことも特徴です。
  3. 第一種中高層住居専用地域
    「中高層住宅のための良好な住環境を保護するための住居系の地域」のことをいいます。低層住居専用地域と違って絶対高さの制限がありません。生活に関わる建築物であれば、低層住居専用地域より自由に建築ができます。しかし、住むことを目的にしている住居専用地域なので、規模の大きな商業施設やオフィスビルを建てることはできません。そのおかげで騒音も少なく、住みやすい地域といわれています。
  4. 第二種中高層住居専用地域
    主に中高層住宅のための良好な住環境を保護するための住居系の地域」のことをいいます。第一種中高層住居専用地域とほぼ同じですが、第2種中高層住居専用地域は物品販売を含む店舗・飲食店・オフィスビルが500㎡ではなく、1500㎡までの建てられるという点が異なります。第一種中高層住居専用地域よりさらに生活に必要とされる施設の建築が認められています。
  5. 第一種住居地域
    「住居の環境を保護するために定める地域」のことをいいます。第一種低層住居専用地域とは異なり、商業施設、危険を伴わない工場などが建築可能です。ただし、住居地域を主としているため、カラオケボックス、パチンコ店、麻雀店などの建築は禁止されています。高さ制限が厳しくないため建物が密集することが多い地域ともいえます。
  6. 第二種住居地域                              
    「主に住居の環境を保護するための地域」とされています。第一種住居地域よりさらに制限が緩和され、具体的には幹線道路沿い、郊外の駅前、店舗やオフィスの間にマンションやアパートがあるといった地域です。そのため住むための場所としては、少し騒々しい環境かもしれません。しかし、人・車の往来、店舗・外灯の明かりが夜道を照らしてくれるので、帰り道、暗くなっても安心というメリットもあります。
  7. 準住居地域
    「道路の沿道において、自動車関連施設などと、住居が調和した環境を保護するための地域」とされています。自動車関連施設との調和を図ることを目指し、第二種住居地域の用途に加えて自動車修理工場、ガソリンスタンド、自動車教習所、自動車関連施設が建設できます。店舗や飲食店、事務所、商業施設など多種類の建物を建てられるため、利便性が高く、自動車を所有している人はアクセスが良く暮らしやすい街と言われています。気になる点としては、幹線道路沿いの地域のため、自動車の騒音や排気ガスなど。生活するうえで実際の環境がどうなっているか確認することをおススメします。
  8. 田園住居地域
    2018年4月1日、改正都市計画法の施行に伴い、新たに追加された地域です。「農地や農業関連施設などと調和した低層住宅の良好な住環境を守るための地域」とされています。簡単に言うと、都会の中にも必要な農地を残そうといった考えから、田畑と市街地の共存を図る目的で、住居の他に、幼稚園から高等学校、診療所、小規模の店舗や飲食店といった生活に最低限必要が建築可能な地域です。

用途地域の調べ方

自分が住んでいる土地や、購入を検討している土地がどの用途地域かは、都道府県や市区町村の窓口でわかります。最近は自治体がHPで公開しているので検索してみましょう。

■東京都の用途地域:

東京都の用途地域は、東京都が提供する「都市計画情報」で調べることができます。利用規約に「同意する」をクリックすると、検索画面が出てきます。

■全国の用途地域:

メタウェアリサーチが提供する用途地域マップというサイトでは全国の用途地域を調べることができる様です。(利用上の注意

東京都、用途地域マップ等に掲載の情報については、利用上の注意をよく読んで使用してくださいね。

項目6.建ぺい率・容積率

土地の購入で、見逃してはいけないのが、建ぺい率と容積率です。土地は、購入した土地をすべて使い、建てたい高さの建物を自由に建てられるわけではありません。建ぺい率や容積率には、都市計画や景観を無視した建物乱立、街並が作られないように規制する、とても大切な役割があります。

地域により定められた、建ぺい率と容積率により、購入した土地に建てられる建物の大きさと高さが変わってきますので、必ずチェックしましょう。

建ぺい率とは

建ぺい率とは、簡単に説明すると、「その土地の中で建物を建ててよい面積の割合」です。

計算式は「敷地面積×建ぺい率(%)=建築してよい面積(建築面積)」です。

例えば、広さ100m²の土地で、建ぺい率50%となると、100m²の50%、50 m²の土地を使って建物を建設できることになります。100m²で45%ならば45m²まで。もし、建ぺい率100%の土地があれば100m²まで建築可能。土地を全部使って建物を建設してOKということになります。

容積率とは

次に、容積率とは、「敷地の面積の中における建物の総床面積の割合」のことです。総床面積は延べ床面積とも呼ばれます。つまり2階建ての住居の場合は、1階と2階の床面積をすべて合計した数字になります。

計算式は「敷地面積×容積率(%)=延べ床面積」です。

例えば、土地の敷地面積が100 m²、容積率が150%の場合、建物の延べ床面積は150 m²となります。

低層住宅専用地に多い「建ぺい率40%、容積率60%」

低層住宅専用地に多いのは「建ぺい率40%、容積率60%」という上限です。敷地面積が100 m²の場合、計算式は敷地面積100 m²×建ぺい率40%=建築してよい面積は40 m²。敷地面積100 m²×容積率60%=延べ床面積60 m²となり、一般的には2階建ての住宅までしか建てることができません。―容積率の総床面積から除外・割り引かれる部分

 容積率には玄関ポーチ、庇(ひさし)、ベランダ・バルコニー、ロフト、吹き抜け、外部階段など延床面積に含まれない部分、地下室やビルトインガレージなどの割り引いて計算される部分があります。

容積率は総床面積延べ面積の占める割合の上限なので、必ずしもその割合分すべての面積を確保しなければならないということではありません。

同じ地域でも、土地により容積率が異なることも

また、土地がどのように道路に面しているかで土地が本来指定されている容積率(指定容積率)よりも低い数値に制限されることがあるので注意が必要です。

まとめ

容積率には、下水や周辺の道路など限られたインフラ(下水や道路など、生活や産業などの経済活動を営む上で不可欠な社会基盤と位置づけられ、公共の福祉のため整備・提供される施設の総称)を地域住民が共有するには、ゆるやかな形で人口を維持することが望まれ、例えば階数の高い建物ばかりが増え人口も増加すると、インフラが不足して住環境を損い、住みよい街とは程遠くなってしまいます。 このように容積率には、人口を適切にコントロールする役割があり、地域や立地により異なります。

注文住宅を建てる際には必ず、建ぺい率と容積率を確認し、土地の購入後に、思い描いていたお家が建てられない!といったことのない様注意しましょう。

項目7.現況

現況とは

現況とは、土地の情報が開示された段階での土地の状況のことです。現況をチェックすることで、その土地が更地(土地のみの状態)か、建物が建っているかなどを把握することができます。

住宅地用に販売されている土地の現況は、更地の「土地」・家付きの土地「中古住宅」のいずれかになります。その中でチェックすべきポイントは、「土地※現況古家有」の表記です。

現況でチェックすべきポイント「古家有」

「古家有」の土地とは、中古住宅として販売されている物件と異なり、経済的価値がほぼない住宅が建つ土地を言います。

「土地※現況古家あり」の場合、古家がある「土地」として販売されているものが該当します。

「古家有」の土地のメリットとデメリット

まず、「古家有」のメリットは3つ。

1つ目は、更地より価格が低いこと。古家有の土地は、古家の解体費用がかかることを踏まえ、土地の価格を更地状態より下げて販売されていることが一般的です。

2つ目は、古家は老朽化が進んで傷みが激しいケースが多くを占めますが、少し手を入れれば住める状態の住宅もあるので古家を少しリフォームして、まだ住居として使える場合は、費用を抑えてマイホームを手に入れられることです。

3つ目は、更地の状態ではどんな家が建つかイメージしにくいですが古家があることで日当たりや建物のボリューム感などを把握しやすいことです。

一方、古家有のデメリットは2つ。

1つ目はやはり解体費用がかかることです。新築住宅を建てる場合、購入後に古家の解体費用、その他、塀や庭木の撤去費用、整地や住宅の滅失登記費用が発生します。

引き渡し条件を決める際には、住宅内に家具などの残置物が残らないよう取り決めをし、現況最終確認後に決済することが望ましいです。

2つ目は、古家を解体中に地中内から、以前の建物の基礎や浄化水槽などが発見されると、撤去費用が発生するリスクがあることです。

まとめ

以上のことから、古家有の場合は、古家有の土地は、周辺の土地の相場価格より安いことが多く、価格だけ見るとお得に思えるかもしれませんが、通常より費用を抑えて家を建てられる可能性がある一方、解体費用や撤去費用、引き渡し条件等で更地より土地の購入費用がかさんでしまうリスクがあります。これらのメリットとデメリットをきちんと把握したうえで検討してくださいね。

項目8.地盤(土地の中、見えない地中のこと)

土地の状況、土の中を確認するためにその土地の所在する区役所に行くと、建築確認申請で出された地盤データをもとに、その土地の地盤について教えてくれます。あくまでも参考資料としてですが「〇〇区〇〇町〇丁目〇番地付近」まで調べることができます。 簡易的に調べるには、ジャパンホームシールド株式会社の地盤サポートマップにて住所を入力するとその土地の詳細が出てきます。または「じぶんのじばん」というアプリを入れて調べることもできます。

地盤サポートマップ

ジャパンホームシールドコーポレートサイト

地盤サポートマップとは、地盤調査・解析実績200万棟を誇るJHSが、実際の調査データや全国の防災情報を地図サービスとして…

じぶんのじばん

項目9.上下水道・ガス・電気の設備状況

土地の購入前に必ず確認すべき項目9つ目は、上下水道、ガス、電気の設備状況です。理由は3つ。1つ目は同じ「宅地」でも土地により設備状況が異なる為、2つ目は上下水道・ガス・電気の設備工事は通常買主負担の為、3つ目は既に整備されているか、どの程度整備されているかによりかかる費用が変わる為です。

例えば宅地となる前は水田や畑などでそれまで一度も家が建ったことのない場合はすべての設備工事が必要ですし、以前家が建っていた土地でも前の家がオール電化住宅でガス配管設備がない場合はガス配管工事が必要です。逆にあなたの建てる家でガスは使用しない場合はガスの配管工事は不要など、あなたがこれから建てるお家によっても必要な設備は変わります。

上下水道・ガス・電気は生活する上で必ず必要な設備で、工事は自己負担となりますので、「知らなかった」とならない様しっかり確認しましょう。

項目10.交通の利便

不動産の物件情報でよく見かける「徒歩〇分」。主に最寄りの駅、バスの停留所、学校までの距離や、スーパーまでなど気になるポイントです。

そもそもこの時間表示、どうやって決めているのか。この計算方法、じつは「不動産の表示に関する公正競争規約施行規則」という規則に基づいています。 計算方法は実にシンプル、

  • 徒歩1分=80m(徒歩による所要時間は、道路距離80mにつき1分間を要するものとして計算されています)
  • 車の場合1分=400m 

1分未満は切り上げて1分としますので、例えばご自宅から駅までの距離が600mの場合は80mで割ると7.5分になりますが、この場合は切り上げて徒歩8分と表示されています。

項目11.土地売買の取引態様

最後は、土地売買の取引態様です。取引態様(とりひきたいよう)とは、その土地がどのような売買取引がされているかを示す項目で、取引態様により土地購入にかかる手数料が変わります。宅建業法で不動産広告を行なう際には取引態様(とりひきたいよう)の明示が義務付けられており、物件広告には必ず記載されています。

取引態様は「売主」「代理」「媒介(仲介)」の3種類。みずほ不動産売買の不動産用語集ではそれぞれ以下のように説明されています。

  • 売主
    不動産の売買契約において、不動産を売る人(または法人)を「売主」という。また不動産広告においては、取引態様の一つとして「売主」という用語が使用される。
  • 代理(宅地建物取引業法における~)
    不動産取引における宅地建物取引業者の立場(取引態様)の一つ。宅地建物取引業者が、売買取引・交換取引・賃貸借取引について、売主の代理人や買主の代理人となって(または貸主の代理人や、借主の代理人となって)、取引成立に向けて活動するという意味である。この取引態様としての「売主」とは、取引される不動産の所有者(または不動産を転売する権限を有する者)のことである。
  • 媒介(仲介)
    私法上の概念で、他人間の契約等法律行為の成立に向けて行う事実行為をいう。代理や取次と違って、法律行為ではないとされる。不動産取引における宅地建物取引業者の立場(取引態様)の一つでもあり、不動産の売買・交換・賃貸借について、売主と買主(または貸主と借主)との間に立って取引成立に向けてなす活動がこれに該当する。なお、「仲介」は「媒介」と同じ意味である。

    ※参照:https://www.mizuho-re.co.jp/dictionary/print/n/55

基本的に取引態様は仲介がほとんど、仲介手数料がかかることを考慮して土地探しを。

「媒介(仲介)」の場合には仲介手数料が発生し、売り手と不動産業者との契約の違いで、媒介(仲介)でも「専属専任媒介契約」、「専任媒介契約」、「一般媒介契約」と3種類に分かれそれぞれ手数料が異なります。基本的に土地売買は、ほとんどの物件は媒介(仲介)のため土地の価格以外に、仲介手数料がかかること、更に仲介手数料も一律ではなく契約により異なることを考慮して土地探しを進めましょう。

【便利】物件広告チェックリスト

注意すべき重要な11項目をチェックリストにしました。

  • 場所:
  • 価格:     
  • 広さ:          m2
  1. 土地の権利/土地権利(土地の所有形態):所有権・借地権
  2. 地目(ちもく):宅地・それ以外※それ以外の場合は宅地への転用可能か確認
  3. 道路/接道状況(道路の幅員)
  4. セットバックと私道負担
    ■道路の幅員:  m
    ■接道義務:有・無
    ■セットバック有・無
    ■私道負担:有・無
  5. 用途地域:第一種低層住居専用地域・第二種低層住居専用地域・第一種中高層住居専用地域・第二種中高層住居専用地域・第一種住居地域・第二種住居地域・準住居地域・田園住居地域
  6. 建ぺい率・容積率:建ぺい率   %・容積率  %
  7. 現況:土地・中古住宅・古家あり
  8. 地盤(土地の中、見えない地中のこと):
  9. 上下水道・ガス・電気の設備状況:
  10. 交通の利便:
  11. 土地の売買の取引態様:売主・代理・媒介(仲介)/仲介手数料  %(     円)

一生に一度の大きな買い物、住まいが建つ重要な土地購入で後悔しない様、きちんとその土地のことを把握しましょう。

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物件探しの前に、住む場所の条件は考えましたか?こちらの2記事をまだお読みでない方は是非目を通してくださいね。

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次は、「間取り」についてです。間取りは建築士さんや工務店、ハウスメーカーと相談しながら決めていけばいいんじゃない?と思うかもしれませんが、事前にきちんと決めておくのが後悔しない注文住宅づくりのポイントです。お楽しみに。

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